【工房】
先日テーブルを納品させていただいたお客様から天板に輪染みができてしまったというご連絡をいただきました。
アートファニチャーギャラリーでは樺の無垢材の天板をオイルとワックスで仕上げしています。
ウレタン塗料などに比べると塗膜が弱いため、水や油が染みてしまうことがありますが、このお客様の場合は南部鉄の食器をご使用していたそうで、天板に黒い染みができてしまったとのことでした。
これは水に溶けだした鉄の成分が木材の中のタンニンと結びついて発色したものと思われます。
染色の世界で言われる鉄媒染と同じメカニズムで起こる現象だと思います。
この対処法を研究するためにテスト用の樺材無垢板をオイル仕上げしたものに同じような染みを作ってみました。
手製クランプのストッパーとして使っている5mm厚の鉄のフラットバーです。
黒皮と呼ばれる酸化被膜を取るためにサンダーをかけてあります。
水道水に浸して天板の上に置きます。
鉄以外の金属も試してみるために銅製のヤカンや硬貨、鍵なども同様に水に浸して置いておきました。
4時間ほど経過したところ、鉄製のフラットバーを置いた部分は品物の形どおりに黒いシミができました。
ほかの金属製のヤカンや硬貨、鍵のところには特に変化は見られませんでした。
このシミの対処法についてはいろいろと調べてみたところシュウ酸の水溶液が効果ありそうということで、薬局に注文したのですが、毒物なので取り扱いが面倒です。
あるウェブサイトでタンニン染めをした革製品にレモン汁がついて脱色されてしまったという記述を見かけてレモン汁を試してみることにしました。
これなら毒性はないし家庭でも入手できます。
3時間後。
レモン汁の付いた部分の染みは見事に消えてなくなりました。
家具の染み抜きについての事例はほとんどネット上に紹介されていないので参考にしていただければと思います。
他にももし良い方法をご存知の方がいらしたら、ぜひ教えていただければと思います。