2012年9月から2013年3月までライプチヒの家具マイスター、クレメンス・ゲルステンベルガーさんのもとで研修を受けてきたDさんからのレポートです。
今回は最終課題の椅子制作レポートです。
Dさんは無事帰国されましたが、これからもレポートよろしくお願いします!
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研修最後の課題としてイスを作らせていただくことになりました。日本に帰って大型機械がなくても椅子が作れるようにと、なるべく手作業だけでの加工法で教えていただきました。
今回はチェリーの材を使って。
まずは座面をこの手斧(ちょうな)という道具でひたすら掘ります。
私は手斧を使うのが初めてだったのですが、なんとも原始的・・・。
真冬の工場での作業でしたが汗がふきでました。
初めはどこに力を入れればいいのかも分からず、空振りしてしまうこともありましたが、さすがに数時間後には少しずつ手斧の仕組みが分かってきて、クレメンスさんがこれを使って座ぐりするのが1番早いと言っていた意味が分かったような気がしました。
大体の形を掘ったら、鉋とドイツのまめ鉋のようなものできれいに整えていきます。
そして脚の加工。角材からこのナイフのようなもので削いでいきます。
この道具がとっても便利で、鋸より簡単に削れて鉋より早い!あっという間にある程度の細さまで削ることができます。
ドイツ語でZIEHMESSERという道具だそうです。(註:日本では銑(せん)と呼ばれている道具です。)
その後は鉋で丸くなるように少しずつ回転させながら削っていきます。
そして座面に脚の穴を空ける作業がとても大変な作業でした。
特別な道具にドリルをつけ、手で回しながら掘っていきます。
手の力だけで掘っていくので想像以上の堅さ。
顔を真っ赤にしながら格闘したものの全然進まずでクレメンスさんに助けていただきました。あまりの必死さに写真を撮ることができず・・・残念。
脚の座面に差し込む部分はこの道具でくるくると削っていきました。
そしてくさびで脚をさして完成です!
オイル仕上げで、私の好きなほっこりとした椅子が出来上がりました。
大型機械がなくても本格的な椅子を作ることができるんですね。
もっともっと色々な技術や知識を身につけて、自分で作れる家具をどんどん広げていきたいと感じました。最後に念願の椅子を作らせてくださったクレメンスさんにとても感謝しています。
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Dさん、興味深いレポートありがとうございます!
手道具だけでこれだけのことをするのは本当に大変な事だと思いますが、それだけに形をなしてくる時の喜びが伝わってきます。
ここで予告です。
Dさんのお師匠さん、ドイツの家具マイスター、クレメンス・ゲルステンベルガーさんが11月に来日して「ドイツ式木工教室」を開催します。
今のところ11月1日~11月4日を予定しいます。
詳しい情報がきまり次第お知らせします。
過去に開催されたドイツ式木工講座の様子です。
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