オルガン工房見学

友人のオルガン職人Tさんに声をかけていただいて、彼の職場のオルガン工房を見学させてもらいました。
工房には借り組み中のオルガンがそびえていて大迫力。
だんだん組み上げていって、その日を境に、今度は2週間かかって分解して北海道の教会に納めるのだといいます。
正面側。
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正面上部のパイプ。
パイプは全部で800本くらいあるそうです。
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4オクターブ半の2段鍵盤に足鍵盤がつきます。
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側面から見た足鍵盤用のパイプ。
右側は木管。
左側は錫と鉛の合金でできたパイプだそうです。
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これはそれぞれのパイプに風を送ったり止めたりするストップ。
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鍵盤の順番・配置とパイプの順番・配置はスペース的にもデザイン的にも一致しないので、鍵盤の動きをそれぞれのパイプのストップに伝えるのにとても複雑な仕組みを使います。
このオルガンは送風機のモーターと譜面灯以外、一切電気を使っていないので、すべて手動・機械式の装置で動いています。
ちょこっと写っているのは同行したベーシスト・チェリストの佐藤研二氏。
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これは機械式のトレモロ発生器。
二つの箱に弁によって交互に空気が送られてシーソーのように動き、その振動で音に強弱の波がついてトレモロになります。
すべてアナログ、機械式です。
ビックリしました。
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これは正面右上から見たところ。
パイプオルガンをこの角度から見るのも珍しい経験でした。
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送風機のモーター以外全て手動の機械式ということに驚きました。
また、ちょっとした小さな留め具に至るまでほとんどの部品が木工の手作業で作られていました。
樹脂で作ると劣化するため長持ちしないのだそうです。
木で作れば何百年ももつそうです。

戦後にモダンな素材、モダンなやり方で合理的に作られたオルガンもあるそうですが、現在は昔ながらの素材で昔ながらの作り方をする方向へ戻ってきているそうです。

さて、同行した佐藤研二氏はバッハマニアで知られていますが、彼がこのオルガンを試奏して面白いことを言いました。

通常、オルガンの音は教会やホールなど残響の多いところで離れて聞くためにあまり音の出ているパイプの位置は意識されない。
ところがオルガンの真ん中で自分で弾きながら聞くと、どの鍵盤を弾いたときにどこから音が聞こえてくるかが良く意識される。
バッハはこの音像の移動で、たとえば十字架を空間的に表現していたということはなかったのか?

こんな説は初めて聞きましたが、マタイ受難曲のスコア上に視覚的に十字架を表現したといわれるバッハならば、また職務としてオルガン鑑定の仕事をしていて、オルガンの機構について熟知していたバッハならばそんなことをやっていたのかもしれないと思いました。

オルガンによってパイプの配列は違うそうですが、バッハが当時、好んでオルガン曲の初演に使っていたというニコライ教会のオルガンで弾くと何かわかることがあるのかも知れないと思いました。
by kotmk | 2008-10-17 08:58 | 工房 | Comments(0)
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